先日『RRR』という映画を見てきた。
公開からかなり時間が経っているので今更という感じもあるのだが、ここまでロングセラーということはそれなりに人気が有るということでもある。
簡単に言えばめちゃくちゃにお金をかけた大作インド映画である。
インド映画といえば突然登場人物が歌って踊りだすというイメージが強い。
それはもうなんの脈絡もなく画面に映る人々が歌って踊る…という偏見。
インドでは映画産業が非常に盛んで年間恐ろしい数の映画が撮られているというのは有名な話だが、そのためなのだろうか。
Naatu NaatuもこのRRRという映画における劇中歌の一つであり、それはもう歌って踊りだすMVが公開済みである。
ただしかし、そうしたなんの脈絡もなく…というイメージを大きく覆すほどに、この曲はあまりにも自然に画面上の人間が盛大に踊りだす。
…というのに感動したのでそこそこなネタバレを交えて紹介したい。
※以下ネタバレ注意
時は1920年のインド。
メインの登場人物は、部族の娘を英国人に奪われ復讐に燃える男ビーム(アクタル)と、ある使命のために昇進を目指す警察官ラーマ。
ある少年の救出劇をきっかけに二人は大の親友となるのだが、各々が抱える使命のために、彼らは対立する運命にある…というのがおおよその筋書きである。
件のNaatu Naatuは、ビームが英国人の令嬢ジェニーに惚れ込み、ひょんなことからパーティーの招待状を受け取ったあたりで流れる。
ビームとラーマはパーティーに参加するのだが、ビームはジェニーと仲睦まじくするのに嫉妬した英国紳士に嫌がらせを受ける。
「お前ら褐色人に芸術の機微が理解できるか?」
「サルサでもフラメンコでもない…ナートゥをご存知か?」
そして始まるのがNaatu Naatuである。
会場はその情熱的なダンスに釘付け。女性陣は英国紳士などそっちのけでビームとラーマを追うようにして踊りだす。
更には負けじと英国紳士たちも踊りだし会場はカオス。
言わばダンスバトルである。どちらがより長く踊り続けることができるか、男と男の意地の張り合いである。
お前も踊るんかい!!!というこういう映画にありがちなツッコミを、文脈に綺麗に乗せることで完全に回避した本当によく出来たシーンだったと私は思う。
何より片足を宙に浮かせたまま身体を激しく動かす俳優陣の異常なほどの体幹に度肝を抜かれる。アクションも迫力がすっげぇんだ…
Naatu Naatuについては以上なのだが、シナリオもなかなか良く出来ている。
大きく分けて三部作になっており、ビームとラーマの出会い、ビームの物語、ラーマの物語、といった具合になっている。
ここらで佳境か?と思ったところで、画面上にINTE”RRR”VALと表示された時は流石に目を疑った。
何を隠そう、この映画、尺が3時間もある。それを一切感じさせないほどの濃密さがあった。
扱っている題材はシリアス極まりないのだが、そうはならんやろという痛快でテンポの良い展開と、突如挟まる挿入歌で中和され、視聴に苦痛が伴わないという絶妙なバランスである。
とにかくオタクが好きな展開が多い。
”使命に引き裂かれる二人”っていうベタなテーマを、インド映画のノリと金の暴力で最大限煮詰めて出力されたのがRRRである。そういうの好きなやつは絶対に見たほうがいい。
ちなみに日本語版公式サイトは見に行かない方がいい。
ネタバレだらけだし、センスがないし、下品。邦画が駄目な理由がよくわかるわ。まぁ俺もレビューを一瞬見て視聴を決めた側の人間だからあまり大きい声では言えないのだが…
そのレビューはこちら。
ホッカイロレン氏の映画レビューである。
前々から視聴するか悩んでいたのだが、冒頭数分を見てすぐに中断し、翌日映画鑑賞することを決めた。
これはホッカイロレン氏も言っていたことではあるのだが、今の御時世、イギリスという大国を堂々と敵に回す映画を作ったというのもまたすごいことだと思う。
時代を考えれば当然そうなるのだが、今ややれポリコレだやれ表現規制だでままならなくなっている中、素直に作りたい映画を作ったのだろうな、という感がある。
総括すれば、RRRは現代のインド神話である。
ビームとラーマという二人の英雄の友情、葛藤、凱旋…を痛快に描いた名作だと思う。
ラーマという名に聞き覚えのある人も多いだろう…つまりはそういうことである。
どうもビームとラーマというのは、1920年代に実在した革命家らしく、これはその二人がもし出会っていたら?というifであるらしいので、実際にはラーマのモチーフは別にあるのだが…ラストシーンの大立ち回りをぜひ楽しみにして欲しい。
以上。RRRのレビューのような何か。
多分まだやってるからオタクは見よう。絶対刺さるぞ。特にシンフォギアとか歌モノが好きなやつは見よう。