前置き
大前提として、私はStable DiffusionをはじめとしたAI生成系のユーティリティに慎重派である。
誰かの著作物が無断に学習材料として使われている可能性があるというのは心地よくないし、更にはその生成物で金儲けが出来るなんていうのは言語道断。
というのを踏まえて、頭ごなしに非難していてもなぁと思い立ったので、Stable Diffusionを導入してみることにした。
本音を言うとめっちゃ気になってた。絵が描けないので。
結論
アカン。沼。
早急に滅ぼさなければならないと思いました。はい。
エロ画像収集のオタクを撃ち抜いている
私はエロ画像のオタクである。
ニッチなジャンルや性癖の絵を長年探しに探し続けたオタクである。
具体的に言うと、自ら今で言う”巨大娘”ジャンルを創造しネットの探訪を続けたという行為を小学5年生頃にやっていた。地獄かな?
メイド服が好きだったのでメイド・巨人などと検索をかけたところ、巨人(球団)のメイドカフェの記事が出てきてブチギレていたのを今でも鮮明に覚えている。そんな思い出しかない。
だから神社もどきにお世話になって(以下略
なぁあの頃の俺、今はこんなにメジャージャンルだ(ほんまか?)。
さて、そうした歴戦のオタクには、このStable Diffusionというツールはあまりに容易に扱える。
なぜなら、プロンプトを打ち込み絵を生成するというこの一連の行為が、絵に紐付けられたタグを辿り絵を探し続けるというあのエロ画像収集に酷似しているからである。
他のツールはわからないが、Stable Diffusionではプロンプトと呼ばれる単語を打ち込むことでAIに絵を生成させることが出来る。
簡単に言えば、生成したい絵の属性や特徴を簡単な単語で指示するということである。
ただこのプロンプト、先も述べたようにエロ絵のタグにそっくりである。
pixivで”巨乳”とか、”男の娘”とかって検索するのに近い感覚なのである。それがいっぱいになっただけ。
例えば”ハッカドール”,”男の娘”,”逆アナル”みたいな検索をすると、大体ハッカドール3号がハメられてる絵が出てくるだろう。
それをもっと詳細に入力する。
"Hacka Doll","Trap","2boy","2penis"…云々。
入力は英語に限る。
だからpixivで温々している甘ちゃんでは上手くいかない。
DeviantArtに肩まで浸かっている私の方が有利だ。
絵に帰属する属性を事細かに入力することでほぼ任意の絵を生成することが出来る。
こんなに楽しいことがあるか?
世の中に存在しないアレな絵を、エロ画像探訪と近い感覚で生成し続けられるというのは全エロ画像収集者の本望である。
本当に恐ろしいツールである。
何が問題か?
学習済みのものしか生成できない
しかしAIというのは、全ての願いを叶えてくれる神様ではない。
数多のデータを取り込んだバケモノが類似したものを吐き出してくれるだけである。
つまるところ、向こうが画像を提供してくれているというより、こちらが指示を忖度することで生成させてやっているという感覚に近い。
これは一次創作ならともかく、二次創作絵に関しては顕著である。
AIは「ハッカドール3号の絵を生成してくれ!」という指示を理解しない。
あくまで、ハッカドール3号の絵が学習されているAIに対して、紐付けられたプロンプトを適切に入力することで、それと適合度の高い画像を生成しているだけである。
なので、モデルの中に望む画像が含まれていなければ画像の生成はうまくいかない。
また、適切なプロンプトの入力が為されなくても同様である。
ここで言う”適切な”というのは、人間基準ではないことに注意が必要である。
例えば、ハッカドール3号の絵に対して、”Hacka Doll 3gou"という紐づけが多く為されているとする。
この時、”Hacka Doll No.3"というプロンプトを入力したとしても、適切に画像が生成されない可能性が高いのである。
AIは物事を理解しているわけではないという典型かもしれない。
これでは人間がAIに従属しているようなものである。こちらが向こうに忖度しなければ仕事をまともにしないのだから。
タグの在り処
この正しいプロンプトの在り処に大きな問題がある。
それは、今存在している有名なモデルは無断転載サイトであるDanbooruなどを学習元としているため、そこに投稿されているタグがまるまるプロンプトとして応用できるという点である。
つまり、先程私が言っていた”タグにそっくり”というのはそっくりどころかまんまその通りということである。
もちろん個人で学習させたようなモデルはその限りではないと思うが、おおよそDanbooruに投稿されている画像を参考にすれば上手くいく。
これが果たして健全なAI技術と言えるのだろうかは大きな疑問が残る。
なんというか、こう、オタクの検索技術の域を出ていないというか…
創作ではない
以上を踏まえると、どう考えてもこの行為は創作からかけ離れた、むしろ正反対な受動的な行為であることがわかる。
既に世の中に生まれたものに名前を与え、それを継ぎ接ぎし再生産するという作業が現状のAI絵ということになる。
それが良いか悪いかという判断は私にはすることが出来ない。
法の専門家ではないし、技術家でもない。
人様の暖簾を使って何かを作り続けることが心地良い行為であるとは私は思わないが、それをよしとするかしないかは人の価値観次第だと思う。
ただこれだけは断言する。
これは創作行為ではない。
文章いっぱい書いたあとにこれやったらなんというか、創造力が失われる感覚がした。
これが良いか悪いかっていうのは本当に人によると思う。
絵師の言い分ってどっこいどっこいだったりしない?
創作でないのは確かだが、実際に法的な問題があるのかどうかは判別がつかない。
最近は絵師が反AI絵師の活動をしているのをよく見る。
彼ら曰く、人様の絵を勝手に使って絵を生成するなんて!ということらしい。
それ自体はごもっともかもしれないが、そう言っている絵師が二次創作絵でPIXIVFANBOXを開いているのを見ると鼻で笑いたくなる。
結局それは人様の下駄を履いて金儲けをしているAI絵師と大差ない。
一次創作者の苦しみならともかく、二次創作だけで銭儲けしてる絵師がそう宣うのは、つまるところ手を動かすという努力をしなくて良いことに嫉妬しているようにしか見えないのである。
法的な問題はさておき、モラルに関してはもう既にどっこいどっこいなような気がする。
私的利用
賛否はあると思うが、もう既に生まれてしまったものはどうしようもないような気がする。
ネット上にアップされたものなんかもう学習材料に使われても何も言えない世の中なのかもしれない。
それで金儲けするなんてのはどうだかなぁって思うのだが、個人で楽しむ範疇ならもう良いんじゃないか?って気がしてきた。
いつだって一番得をしているのは、何をしているとも言わずにいそいそと上手にインターネットをしている人なのだから。
なので私は自分用にだけ使ってる分には良いんじゃないかなぁというスタンスを取ることにした。
便利な技術であることには間違いないしね。技術を潰すのは倫理観のぶち飛んだ人間なのだ。
以下、任意の(異常性癖)絵を生成したい人へのコツ
備忘録みたいなものなので興味がない人はここで記事は終わりだ
loraなしは無理
loraというのは追加学習データのようなもので、特定のキャラを生成するには必須のツールになっている。
自分の用いるモデルの中にそのキャラがいなくても、loraを用いることで生成が可能になる。
loraを導入し、特定のトリガーワードをプロンプトに入れることで高い精度でそのキャラクターを生成できる。便利だなぁ。
…こういうところがこの技術を陳腐たらしめてると思うんだよなぁ…使うけど…
だってloraあれば下手に特徴をプロンプトするより上手くいくんだもん…
モデルについて
異常性癖絵を出したいなら、そうした学習がされていると思われるモデルを探してマージするのが良い。
要は混ぜ物をするのである。
有名な質の高いモデルと異常性癖モデルを混ぜ合わせるのである。
そうするとかなり良い精度で絵が作れる。
…やっぱりこちらから指定してあげないと上手く絵は生成されないのである。
プロンプトの強度について
プロンプトの強度はメリハリをつけると上手く行きやすい。
Stable Diffusionは小数点単位でプロンプトの強度を指定することが可能だが、どれも似たような強度にするとあんまり上手くいかない。
そこで、生成したいキャラの強度を2.0にし、それを基準にして0.1~2.7程度の強度をつけると結構うまく行った。
しかしプロンプトが強すぎると、絵が歪みやすい。
色々試して君だけの比率を作ろう。 こういうところはなんか対照実験みたいで楽しいよね。倫理観のぶち飛んだ対照実験。
英語に強くなろう
英語に強いと結構有利である。
○○_bigger_than_○○みたいな指示は以外と通る。
プロンプトは必ずしもタグ通りではなくても良いようである。この辺はすごいなぁと思う。精度こそ高くないけど…
あと性的なスラングなどは大概通る。Cowgirl_positionとか。騎乗位のことである。
生成した際のプロンプトは保存しておこう
設定から絵と一緒にプロンプトの内容をテキストデータで保存することが出来る。
後でうまく行ったプロンプトを忘れないようにこの設定は欠かせない。
loraも物によってどの強度で指示すると上手くいくか違うことが多い。
0.6~1で上手くいくものもあれば、それだと強く出過ぎるから0.1で十分なようなものもある。
対照実験なら実験結果は見れるようにしておかないとということである。
あ ほ く さ
何やってんだろうね?
貴重な時間をこんなことに溶かすべきじゃありません。
再三言ったようにこれは尊い創作とは程遠い行為。良い悪いとかの問題ではなくて。
いやね、某所に異常怪文書を投稿したら昂りすぎて、挿絵がほしいなぁ!とか思っての出来心だったんですよ。ほんと。
(↑拙作異常怪文書。超閲覧注意。ちなみになんか知らんけど好評。みんな偏屈やね?)
それがこんなに恐ろしいものだったなんて…
俺は絵が描けないので正直魅力的なツール。
AIのべりすととかは正直文字書ける人間だから別にどうでもいいやとか思ってたけどこれは別。結局人間、自分にできないと思うことは何某かに頼りたくなるんだなぁと痛感。
みんなも節度を守って楽しいAIライフ。もう手遅れかな…